患者の個別性に寄り添える入院環境を具現化した精神科病棟
愛知県幸田町で80年を超える歴史を持つ精神科病院の、病棟の新築統合である。緑豊かで広大な敷地に2階建で3棟並んでいた旧病棟を、新たに5階建の「中央総合棟」へ統合し、旧病棟の解体でゆとりのできた空地は、広い芝生の「センターガーデン」として生まれ変わった。棟名の「中央」は入院治療の拠点の意味を持つが、物理的にも複数の施設群のほぼ中央に位置する。1階には厨房機能を敷地北端の旧給食棟から移転させ、より安全かつ迅速な食事の提供を可能にした。病室は半数以上を個室とすることで、必要に応じて患者に個別のケアが行えるようにした他、各病棟のフロア内に大小さまざまな「スペース」や「ルーム」を用意して、食事、作業療法、グループ活動、面談、面会などに臨機応変に使用できるようにしている。さらに内装計画では、患者ひとりひとりが思い思いに居場所を選びたくなるような変化に富んだ空間づくりを行った。これらが相まって、患者の治癒力を最大限に高める入院環境となることを願っている。
OUTLINE概要
- 所在地
- 愛知県額田郡幸田町
- 設計・監理
- 戸田建設 名古屋支店 一級建築士事務所
- 施工
- 戸田建設 名古屋支店
- 竣工年月
- 2021年7月
- 構造
- RC造
- 規模
- 地上5階
- 延床面積
- 7,403.08m²