建設機械を使った土木工事の協力会社としておよそ75年続く企業の事務所建替計画。建設地は仙台市内。東日本大震災の地震と相次ぐ余震で既存建物がダメージを受けたことによる建替計画である。設計時、新型ウイルスの感染者が爆発的に増加し、生活スタイルに大きな変化があったことで、今後の「働き方」も重要なテーマとなった。「杜の都仙台」という周辺環境の特徴を活かした、家に次ぐもう一つの拠り所となり、働き手の個性や自主的で伸び伸びとした活動を引き出すオフィスを提案したいと考えた。一つ屋根の下、異なるレベルの床が接し、重なり、多様な場を設けることで、住宅のような距離感でお互いの気配を感じながら働くことができる空間を目指した。構造は、空間に一体感を持たせ、ロングスパン柱梁リブ架構として柱を中間に落とさないようにすることで、働き手や使い勝手に配慮した計画とした。設備は、シミュレーションを行い吹抜空間が快適な温熱環境となるよう計画した。意匠・構造・設備を統合的にデザインした空間を、第二の家として長く愛着を持って利用してもらえることを期待している。