意匠・構造・設備のデザインの融合
本建物は既存工場の管理部門の拡充及び福利厚生施設の充実を目的とし計画された。機能性や環境配慮の視点とともに工場の顔としてのデザイン性を求められ、その回答として外郭トラス「Vフレーム」、ロングスパン小梁、屋根ブレースによりダイナミックで自由度の高い無柱空間を構築し、構造部材を意匠的な要素として融合させることをテーマとした。外観はガラススクリーンを通して「Vフレーム」を積極的に表出させ、フラットなスカイライン、地表より浮かせたフラットスラブ、シルバー基調の金属外装材と合わせ、シャープでインパクトのあるファサードとし、製薬会社としてクリーンに対する意識と企業ブランドイメージを表すことを目指した。「Vフレーム」については上弦材と斜め材の交差部が意匠上のポイントになるため、鋳造ピンを用いて軽快なディテールとなるよう配慮するとともに、薄板を溶接にて組み合わせることでコスト圧縮にも努めた。また、ロングスパン小梁は天井仕上面と小梁せいを合せて直接天井材を支持させることにより、天井落下防止の機能も兼ねながら、ラチス梁として設備機器配置の自由度も高めた。なお、環境配慮の観点から太陽光パネル(45KW)設置、自然光の積極利用(昼光センサー、電動ブラインド、等)、Low-eペアガラスの採用、全面LED照明採用、節水型便器・高効率型空調機の採用等々、環境共生空間の実現を目指した。
OUTLINE概要
- 所在地
- 山口県宇部市
- 設計・監理
- 戸田建設株式会社一級建築士事務所
- 施工
- 戸田建設株式会社 広島支店
- 竣工年月
- 2012年5月
- 構造
- 鉄骨造
- 規模
- 地上1階
- 延床面積
- 1,100m²