本計画は、老朽化した既存建物を刷新するために行われる建替計画の1つである。富士山のふもとにある富士吉田キャンパスは、医・看・薬・歯学部の1年生が1年間、合同でチーム医療の基礎を学ぶ場である。冬は雪が積もって真っ白になるくらいとても寒く、森に囲まれた大自然の中にある。
ここに建てる寮は、自然の素材感を取り入れた、温かみのある空間になるようにしたいと考えた。共用部のある1階は、木板壁のあるエントランスで学生を引き込み、黄色い明るい印象のロビーに導くように工夫した。また、敷地内にある源泉を寮の大浴場に引き込み、毎日温泉が楽しめるようにした。2階以上は学生が暮らす寮室とスタディールームがあり、アットホームな空間を目指した。各フロアのL字プランの中心に配置した交流ラウンジは、学生が料理したり、テレビを見たり、学生同士が毎日楽しくコミュニケーションが取れるように、くつろげる空間を提供した。
ここで過ごした学生が社会人になっても、富士山を見るたび、ここでの1年間は楽しかったなあと思い返してもらえるような寮になってほしい、という思いで設計に取り組んだ。