建築ができるまで

STORY


EPISODE 02
2016年竣工捜真学院7号館

創立130周年記念事業の一環として、本館前の敷地に庭をもった建物を新たに作りました。
建物は、南面に設けた庭「捜真ガーデン」に対して開放的なしつらえとしており
「捜真ガーデン」を中心としてもたらされる様々な自然の恩恵を活かした居心地の良い空間となっています。
そのような空間は生徒がリラックスし、多様な想像力を育むことができる居場所となることを意図しています。
既存本館の前庭と合わせ、生徒の活動により明るく楽しい場を作り出すことで、
生徒だけではなく周辺の方々にも記憶に残り愛される場を目指しました。

PROJECT MEMBER プロジェクトメンバー
  • 岩岸 宏次
    計画設計

  • 松永 均
    計画設計

  • 桑 素彦
    構造設計

  • 福澤 彦孝
    設備設計

  • 西原 征一郎
    設備設計

「階段は建物全体のコンセプトの一環として考え、捜真ガーデンと建物の連続性を妨げない透明感と、自然に階段を上がりたくなるような優しい形態を目指しデザインしました」と設計担当の岩岸は振り返ります。


お客様との対話の中で

お客様から創立130周年に伴い食堂と教室を建設したいという話がありました。打合せ当初から学院のブランド価値を上げることに貢献できる建築を作りたいと考え、明るく開放的で透明感をもったイメージを提案しました。
お客様は同時に制服も新しいデザインに刷新しましたが、同じように明るくかわいらしいものになりました。

建物全体のイメージ

学院は華美な形状の建物は望んでいませんでした。そこで設計者としては、シンプルな白い箱を用意し、その中で生徒が多用で豊かな時間を過ごすことができるという提案をしました。建物の形状は、ダイナミックでもなく見た目を驚かすことはしていないですが、庭との一体性が生徒の多用な活動のきっかけになるような、自然体の箱になれば良いと考えました。

建物全体のイメージから部分へ

内部空間の大きな要素である階段も全体のコンセプトに即して、自然に空間になじんでいる形態を目指してイメージを固めました。
階段があるエントランスホールは1階と2階を結び、人がたまる空間になります。上下階の連続性とエントランスホールの広がり感を作り出すことに配慮してデザインしました。

細部までデザインを追求

階段は透明感と優しさを目指してデザインしました。デザインだけではなく手すりの握りやすさといった機能性との両立を目指しています。手すりの握りの部分は子供からお年寄りまで誰でも不自由なく掴みやすい高さとするために丸みを帯びたL字型のデザインとし、掴む部分を上下の2段としました。また透明感を出すために蹴込にはパンチングメタルを使用し、光が透き通るようにしています。そうすることで階段が空間と庭を分断せずに、連続性を確保します。

現場とともにつくる

階段の施行中にあって、現場の職人さんと対話をしながらデザインを詰めた部分も多くあります。1つ目は階段の踏み板の部分。すべて木で作るデザインとしていますが、現場に入ってきた木の状態を職人さんと見てデザインを活かせるように木の組み合わせ方を工夫し金物を用いずに留めています。2つ目は手すりの丸み。いろいろな箇所が3次元の丸みを帯びています。加工場から持ってきたものを取り付けると手すりの角は優しい曲線とならないため、現場で削る作業を行いました。その際には職人さんが削る作業を随時確認しながら完成へと持っていきました。

竣工を迎えて

連続性、透明感、優しい形態というキーワードを基に作ってきた段階は初期のイメージ通りに作ることが出来ました。階段の材料を木としたことで、建物の色白と木を使用した優しい内装デザインとも合致し、空間になじんでいます。建物全体としての評判はとても良く、何よりうれしかったのはユーザーである女子学生たちが、建物の竣工を待ち望んでいてくれたこと。竣工当日は並んで待っていてくれたのが印象に残っています。