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Architectural Design Division
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-新たなる挑戦-
本計画は、大阪市内に建つ本社機能を有するRC造の事務所ビルであり、環境負荷低減・持続可能性に配慮し、事務所用途としては当社初の年間一次消費エネルギーが正味マイナスである『ZEB』(NetZEB) 認証を取得したプロジェクトです。
プロジェクトメンバー
河本 淳史意匠設計 入社6年目
渡辺 泰成構造設計 入社6年目
01.敷地条件・法的要件の中での『ZEB』達成
本建築は、「ZEB Ready」や「NearlyZEB」よりもさらに省エネルギー性能が高く、創エネによるエネルギー供給量が多い、『ZEB(NetZEB)』(上図★)を達成しています。
今回のプロジェクトでは、発注者様の強い意向もあり、計画初期段階から『ZEB』の達成を念頭に計画を進めました。設計にあたっては、高効率な空調設備・照明設備をはじめとした省エネルギー技術の採用や外皮性能向上による年間一次エネルギー消費量の削減、屋上に設置した太陽光パネルによる創エネルギーにより『ZEB』を達成しています。
計画敷地は、前面に緑地と河川を臨む恵まれた環境でしたが、住宅地に立地していることもあり、近接した近隣住戸への配慮と限られた敷地内での計画・施工が求められる条件でした。
また、用途地域による階数制限と日影規制による高さ制限があったため、地下1階
地上2階建ての計画とし、居室の天井高さを最大限確保する計画を行っています。
2階に計画したオフィスエリア(事務室)には、前面の緑地と河川を臨む大開口を設ける
ことで、明るく開放的な執務空間を実現しました。西面となるこれらの大開口からの
日射遮蔽のため、外部には太陽光追従制御の電動ブラインドを設置し眺望と快適性の
両立を図っています。
今回計画では、各居室の快適性を損なうことなく、外皮性能・省エネルギー性能の向上に
努め、命題であった『ZEB』の達成をすることが最も注力を行った部分です。
02.快適で働きやすい執務空間の創出
今回の計画では、『ZEB』の達成が命題ではあったものの、本社ビルという特性上、執務室の快適性や従業員の方々へのアメニティ向上についても、大きなコンセプトとして
計画を進めました。
建物の主たる部分である執務空間は、ワンフロアオフィスのメリットを最大化する
計画とするため、11m×25.6mの無柱空間を確保しています。
執務空間を無柱化するため、長スパン部の梁には実プロジェクトにて初採用となる「戸田式高強度扁平梁工法(以下ワイドビーム)」を採用しました。ワイドビームを
採用することで、限られた建物高さの中で高い居室天井高さと十分な天井内空間を
確保しています。
地下1階に計画した従業員用のカフェテリアでは、地上階への吹抜けを利用した
自然採光を確保すると共に、高い天井高さを計画し、食事・休憩の際の居心地の良さ
に配慮しています。さらに、天井照明にはLED照明と併用して青空照明(青空を模した
パネル照明)を採用することで、地下空間でありながら明るく開放性の高い、快適な
アメニティ空間としました。
03.企画設計から設計監理までの業務を通して
本プロジェクトは、受注前のコンペでの提案から現場での設計監理までの業務を大阪支店の設計チームで一気通貫に取り組んだものでしたが、建物の引渡しまでに支店の営業部門や施工部門、本社設計部門を始めとする多くの関係者との協働を行い、「オール戸田」として一丸となって取組んだことが、成功に繋がった要因だったと感じます。
今回、発注者様の本社ビルという重要なプロジェクトに意匠設計担当として取組めたことを嬉しく思います。
また、今後の社会を見据えた環境意識の高い発注者様と共にプロジェクトを進めていくことは、とても刺激的な経験でした。
協力頂いた社内外の関係者の皆様に感謝しつつ、今回の経験を今後の業務に活かしていきたいと思います。(河本)
高さ制限がある狭隘な敷地において、建築面積の最大化、天井高さの確保、RC造での11mスパンの実現、ワイドビームの初採用と課題は多かったですが、発注者様から
喜ばれる空間のための架構を設計できたことは良かったです。
日々の定例会議に出席し、発注者様の生の声や要望に対する熱量を感じることは、種々の課題を解決する方法を考える良いモチベーションになりました。(渡辺)