2023年竣工The Lilyx Training Center
-「これまで」と「これから」を繋ぐ場として-
PROLOGUE

本計画は医薬品メーカーである建築主様が所有する⾃社専⽤の滞在型研修施設の建替計画です。敷地は閑静な住宅地が広がる丘陵で、建築主様が⻑い⽉⽇をかけて育んできた⾃然環境が広がっています。
計画にあたっては、この場所への思いを引継ぎながら、さらなる発展を担う場所となることを⼤切に考えて進めていきました。

PROJECT MEMBER
プロジェクトメンバー
中本 裕美⼦
中本 裕美⼦意匠設計・PM
関根 康季
関根 康季意匠設計
⽯塚 圭介
⽯塚 圭介構造設計
濱野 加奈⼦
濱野 加奈⼦設備設計
ダンカン クリストファー
ダンカン クリストファー設備設計

01.敷地に寄り添う建築を⽬指して

敷地は桜並⽊のつきあたりに位置し、敷地内にも桜をはじめとする多様な植⽣があり、敷地内外に豊かな⾃然が広がる場所です。また、周辺は⾼校が隣接する他、幼稚園や⼩学校、⼾建て住宅が建ち並ぶヒューマンスケールな環境でもありました。設計にあたっては閑静な住宅街に溶け込むスケールをもつこと、⻑い時間をかけて育んできた豊かな⾃然環境をできる限り保全し、これからの成⻑もみこして建築と⾃然が⼀体となるような計画とすることを⽬指しました。

⼩さなスケールに溶け込むボリューム

周辺環境の持つ⼩さなスケール感に溶け込むことを⽬的として、雁⾏配置によるボリュームの⼩スケール化をしています。さらに、敷地外に伸びる桜並⽊の開けた眺望を内部空間へ引き込むように北⾯はACWによる⽴⾯とし、ACWとその直⾏⽅向を押出成形セメント板を主体とした⽴⾯とすることでボリュームを壁による⾯的構成まで分節することを試みました。

環境に溶け込み、環境を活かす為の操作

02.緑あるコミュニケーションの場を散りばめる

廊下を⼀つの交流の場としてデザインする

研修や国際会議を⾏う研修棟と訪問者が滞在する宿泊棟を分棟とし、それらを繋ぐように⾷堂やラウンジといった社員の交流を促す空間を配置しています。そして、1本の廊下がこれら全ての機能を結ぶようなプランです。伸びやかな平⾯計画である為必然的に距離の⻑くなる廊下は、それ⾃体が1つの⼤きな交流空間となるよう⼤⼩さまざまなふくらみを廊下にもたせ、コミュニケーションの場を建築全体に散りばめました。これらの場所には豊かな⾃然を望む開⼝を適切に配置し、⾃然と⼀体となる空間としています。これらの場がゆるやかにつながることでコミュニケーションの場が連続し、施設全体が⽣き⽣きとした場所となることを⽬指しました。

対話を重ねて⽣まれた内部空間

「あたたかみのある空間」というコンセプトを起点として⼀つ⼀つの部屋に対して内装材を選定するワークショップを建築主様と重ねていきました。コンセプトの設定、BIMを⽤いた多数案の提案・議論、内装材の決定というプロセスを丁寧に進めることで、建築主様含め、この建築に携わる全員が作り⼿となった建築となりました。

03.「これから」を育むトータルデザイン

研修施設の建替にあわせて、広⼤な敷地内の再整備も進められました。停電時にも利⽤できるBCP対応を⽬指したトイレ棟や遊歩道・多⽬的広場等の計画です。社員の⽅々がこの場所への思い⼊れを深めながら、ここで過ごす⽇々がより豊かなものとなるよう願いを込め、敷地全体を1つのトータルデザインとして設計していきました。

04.関わった全員が思い⼊れのあるプロジェクト

たくさんのハードルを対話を重ねることで乗り越え、建築主様はじめ設計・⼯事に携わる全員が建築の作り⼿となり、愛着のある建築となったと思います。使いながら想い出をつなぎ、新たな価値をつないでいってもらえることを願っています。(設計担当者⼀同)

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